昨日書いた川崎フロンターレの記事ですが、思った以上にRTや、いいねがついている感じです。
⇒川崎フロンターレは超優良企業!経理マン目線で、個別経営情報を紐解く!
経常利益、営業利益についてよくわからないって声や、100百万円という表記が分かりづらい、こういう角度から川崎フロンターレについて見るの楽しい、よくまとめましたねー…などいろいろな意見をもらえて、このブログ始めてからこんなにコメントつくの初めてなので、かなり嬉しいです!!!
Jリーグ順位予想を書いたときにアクセスはめちゃくちゃ来たし、こないだの高橋峻希選手の情報漏えいのときとかかなりアクセスも有りましたが…ブログのテーマに沿った「川崎フロンターレ」×「データ」でアクセスがたくさん来たのは嬉しい限り。
ちなみに営業利益とは、会社が本業で稼いだ利益のことで、経常利益とは、本業を含めた事業全体から、会社が経常的に得た利益のことです。
営業利益は売上高-売上原価-販売費及び一般管理費(人件費や、経費など)ですね。
経常利益はそこから受取利息などの営業外収益を足して、支払利息などの営業外費用を引いたものです。
さて、ここで追加の財務諸表分析ネタで・・・アカデミーについて書いていきます。
また誰が読むのかな…っていう記事ですw
この記事の目次はこちら
Jリーグのアカデミーとは?
Jクラブは、プロとして活躍する選手を一人でも多く輩出するために1種(トップ・サテライトチーム)だけではなく、2種(ユースチーム)、3種(ジュニアユースチーム)、4種(ジュニアチームやスクール、クリニック)の育成年代の組織であるJリーグアカデミーを持つことが義務づけられています。
2001年に立ち上げられた「選手育成プロジェクトから、2002年の「日本型育成システムの確立」を目指したJリーグ・アカデミーというプロジェクトがスタートしたことでアカデミーが拡大していきました。
Jリーグの各クラブに「育成センター」を作らせ、幼児期からの指導の取り組みをはじめたアカデミー制度が、日本サッカー界の将来を担っていると言っても過言ではありません。
現在、日本代表になっている選手の多くは、どこかの世代でアカデミーに携わっていたりしますもんね…。もちろんアカデミーと全く関係のないところで、育ってきた雑草的な選手も好きなんですけど、アオアシを読むようになってからユースチームの魅力にどんどんハマっていっています。
さて、そんなアカデミーにお金をかけているクラブ、お金をかけていないクラブがはっきりと分かる資料を各クラブがJリーグさんが用意してくれてるんですよね。
2011-2017年のJ1所属クラブアカデミー収支
J2も、J3もアカデミーはありますし、資料を作ろうと思ったら出せるんですが…川崎フロンターレについてまとめているブログだし…ということで、J1についてまとめていきます。
財務諸表分析については2005年から載せましたが、アカデミー収益と、アカデミー費用を各クラブが載せるのようになったは、2011年からだったりするのですが…これをみると各クラブの方向性が見えてきて面白いです。
川崎フロンターレはやっぱりアカデミーにそこまでお金使ってないんだよなー。
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2011年のJ1所属クラブアカデミー収支
2011年の収支トップは清水エスパルス、2位は横浜Fマリノス、3位はヴィッセル神戸。
ワーストは、浦和レッズ、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島。
ピンクっぽくなっているのはそれぞれのトップ5で、水色っぽくなっているのは、それぞれのワースト5です。
川崎は中位ですね。
2012年のJ1所属クラブアカデミー収支
2012年のトップも清水エスパルス、2位はFC東京、3位は横浜Fマリノス。
ワーストは、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、コンサドーレ札幌。
川崎は6位。
この年からセレッソ大阪の収入、経費が0になります。
それについては後で触れます。
2013年のJ1所属クラブアカデミー収支
2013年のトップはFC東京、2位は横浜Fマリノス、3位は清水エスパルス。
川崎は5位にランクイン。
ワーストは、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、大分トリニータ。
セレッソ大阪だけではなく、湘南ベルマーレも収支0。
後で触れます。
2014年のJ1所属クラブアカデミー収支
2014年のトップはFC東京、2位は横浜Fマリノス、3位はヴィッセル神戸。
ワーストは浦和レッズ、サンフレッチェ広島、セレッソ大阪(収支0です)。
収支0のクラブがワースト3になるっていうことは、15クラブはアカデミー関連の収支黒字になるという素晴らしい年でした。
2015年のJ1所属クラブアカデミー収支
2015年トップは川崎フロンターレ。2位はヴィッセル神戸、3位は横浜Fマリノス。
いきなりトップに躍り出ました。が、運営費用がそこそこ少なくて、収入が良かっただけっぽいです…。
その証拠に、収支の両方共トップ5にも、ワースト5にも入ってません。
ワーストは浦和レッズ、サンフレッチェ広島、柏レイソル。
湘南ベルマーレ(この年はJ2ですが、セレッソ大阪)に加えて、モンテディオ山形も収支0。
2016年のJ1所属クラブアカデミー収支
2016年トップはFC東京、2位はヴィッセル神戸、3位は鹿島アントラーズ。
川崎フロンターレは4位。費用がワースト5入り。お金出さないんですよね…。シブい。
ワーストは、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、柏レイソル。
2017年のJ1所属クラブアカデミー収支
2017年トップはFC東京、2位はヴィッセル神戸、3位は横浜Fマリノス。
4位に川崎フロンターレ。
ワーストは浦和レッズ、サンフレッチェ広島、コンサドーレ札幌。
J1所属クラブアカデミー収支全クラブ比較
すべての収入と支出を並べてみると…
トップ3常連のFC東京、横浜Fマリノス、ヴィッセル神戸がトップ3。
ワーストは全てにおいて最下位だった浦和レッズがダントツで一番下をキープし、ついで17位常連のサンフレッチェ広島となっています。
サンフレッチェ広島ユースがどれだけ日本代表を送り出しているか、浦和ユース出身の選手がどれだけ活躍しているかを考えると…この結果からも、アカデミー収支が、アカデミーの強さと比例しなさそうなのはわかります。
むしろ、アカデミーの評判の良いクラブほど、収支が悪い現実がありますね。柏レイソルとかも収支はそこまで良くないんですよね。
収支が結構ずっといい、FC東京はしっかりとユース上がりの選手が活躍しているし、施設もしっかりしているイメージがあるし、清水エスパルスや、ヴィッセル神戸、横浜Fマリノスと、ユースからトップに直結して活躍している選手が多いイメージなので…上位の中では川崎フロンターレだけがユースを活かせてないイメージです。
お金だけ儲かっているけど…みたいな。
セレッソ大阪や、湘南ベルマーレ、モンテディオ山形が収支0の理由
この3チームは実は一番アカデミーのことを考えてるんじゃないかな?
ゼロな理由は、セレッソ大阪、湘南ベルマーレ、モンテディオ山形はアカデミーをNPO法人や、一般社団法人に移管しています。
クラブ収支には運営単体のみが書かれると、注記がしてあります。
クラブ運営法人単体の数値。アカデミー(育成・普及)事業を、クラブ運営法人と直接関係のあるNPO法人や一般社団法人に移管している場合には、アカデミー関連収入及び費用が上記数値に含まれないそうな。
セレッソ大阪は、
一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ
湘南ベルマーレは、
NPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブ
モンテディオ山形は、
公益社団法人山形県スポーツ振興21世紀協会
をそれぞれ独立させているんですよね。
これやってるクラブは少ないので素晴らしいと思ってます。
それぞれ、サッカークラブとしてだけではなく、他のスポーツや、地域との密着などをやっているので…収支はわからないながらも、それぞれが地域貢献活動にもつながっている感じ。こういうのがアカデミーを運営する大事なポイントだと思っているので…強いセレッソ大阪ユースがやっていることが大きい気がしています。
ただ全クラブできるのか?っていうと難しいと思いますけどね…。
浦和レッズがダントツ最下位を続けられるのは圧倒的収入源を確保しているから
浦和レッズが最下位を続けているのは…お金をアカデミーからあげようとしていない、というか、それ以外のチケット収入とかですでに十分儲かっているからだと思うんですよね。
浦和レッズは2017年、広告料収入で31.9億、入場料収入で23.3億を含む79.7億円の営業収入で、営業利益は5.5億でダントツ1位。
川崎フロンターレは広告料収入が18.5億、入場料収入で10.3億を含む、51.2億円の営業収入で、営業利益は3.9億で2位でした。
(ちなみに発表された過去の決算上、クラブ最高)
それ以外の年も、
営業収入/営業利益
2011年 53.8億/0.9億
2012年 53.5億/1.5億
2013年 57.8億/1.5億
2014年 58.5億/2.1億
2015年 60.8億/1.2億
2016年 66.0億/1.8億
2017年 79.7億/5.5億
7年間の単純合計
430.1億(平均61.4億)/14.2億(平均2.0億)
ちなみに…同じ時期の川崎フロンターレの営業収入と営業利益を比べると…
2011年 32.7億/0.6億
2012年 30.7億/0.6億
2013年 32.1億/0.4億
2014年 33.5億/0.7億
2015年 40.7億/1.0億
2016年 42.5億/3.3億
2017年 51.2億/3.9億
7年間の単純合計
263.4億(平均37.6億)/10.5億(平均1.5億)
詳しくはこちら⇒川崎フロンターレは超優良企業!経理マン目線で、個別経営情報を紐解く!
アカデミーでマイナスでもそれ以外で収入を得ているので、それは構わない、という感じなんでしょうね。
そして、それはJリーグの下部組織としては理想的ではないでしょうか?
お金をかけていい選手を育てるけど、成果を求めない、ってことですからね。
いい選手育ちそうだなーと思いますが、浦和レッズ以外のどのクラブもそれをやりたくてもできないのは、浦和レッズほどの人気があるチームがないからでしょうね…。
サンフレッチェ広島や、柏レイソルもアカデミーは強いけど、収支がマイナスなのは、それだけ世代育成にお金をかけているからなんでしょうね。
川崎フロンターレがアカデミーにお金を使っていないイメージ
川崎フロンターレユースは1部であるプレミアリーグに参加できてません。
プリンスリーグでも今中位ですもんね。
どっちかにふれているチームがやっぱり強いんですよね。
2018年のU18プレミアリーグ参加チームのうちアカデミーは…
関東:鹿島アントラーズユース(茨城県)
浦和レッドダイヤモンズユース(埼玉県)
柏レイソルU-18(千葉県)
FC東京U-18(東京都)
東海:清水エスパルスユース(静岡県)
ジュビロ磐田U-18(静岡県)
東海:名古屋グランパスU-18(愛知県)
関西:京都サンガF.C. U-18(京都府)
ガンバ大阪ユース(大阪府)
セレッソ大阪U-18(大阪府)
ヴィッセル神戸U-18(兵庫県)
サンフレッチェ広島F.Cユース(広島県)
九州:アビスパ福岡U-18(福岡県)
となっていて…マリノスや、エスパルスが入っていないんですが、川崎フロンターレも入れていません。
イーストはたしかに強いチームも多いイメージだけど、それでもここにユースが参加しているクラブの未来が明るいのは間違いなくて…クラブの将来性と、アカデミーの活躍は、本当に直結していくはず。
川崎フロンターレ=大卒、っていうイメージは悪くはないんでしょうが、ユースからの選手が全く活躍できていない現状があるわけで…育てた三好康児や、板倉滉を貸し出して、田中碧を燻らせていくのは悲しいですよね。
ホームグロウン制度ができて、そのクラブで育った選手を○名入れないとだめ、みたいなルールになったときに慌てているようじゃ、Jリーグを代表するクラブになんかなれないし、それまでにしっかりとアカデミーにお金を使ってほしいなぁ…という感想を持った財務諸表分析でした。
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