1日開けて、ごろごろしてたらだんだんと気持ちが落ち着いてきました。悔しい気持ちもありつつ、川崎フロンターレを誇りに思います。
出れる大会のすべてで銀を取れましたね。
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【ACL決勝で見えた、世界基準との明確な差】
ガレーノのゴラッソとケシエの一撃、質の違い
ACL決勝の舞台、キング・アブドゥッラー・スポーツ・シティ。地鳴りのようなホームの大歓声の中、川崎フロンターレはアジア王者を懸けてアル・アハリと激突しました。立ち上がりから押し込まれる展開でしたけど、35分まではよく耐えていた印象です。ただ、中2日で死闘を勝ち上がってきたクラブはあと1歩が足りなかった印象。
先制点はガレーノの左足。あの一撃に関しては、もう「やられた」としか言いようがないゴール。すごいゴールでした。
ペナルティエリア左から巻いたシュートは、河原の寄せもあと一歩及ばず、ゴール右隅に突き刺さった。あのタイミングで、あの場所から、あの精度。正直、Jリーグであのレベルのミドルを決められる選手はほとんどいない。これが「世界基準」かと痛感させられた瞬間でした。しかし、テセのお通夜みたいな解説ひどかったですね…。
さらに7分後。三浦颯太の負傷による交代のドタバタが起きた直後に、フィルミーノの正確なクロスからケシエのヘディングで追加点。川崎側の気がそこまで緩んだわけではないと思いますが、相手の決定力がそのほんのちょっとの隙を逃さなかったですね。
ボールの持ち方、クロスの質、合わせるタイミング。すべてにおいて数秒の精度が違いました。ACL決勝という舞台で、ちょっとした“差”が「2点差」という明確な数字になって表れてしまった印象。
フロンターレが組織で戦ってきたのは間違いない。でもこの2失点は、“個”の力だけで勝負を決める選手の存在が、どれだけ大きな意味を持つかをまざまざと見せつけられちゃいましたね。
川崎の守備ブロックは崩れていたのか?
試合を冷静に見返すと、川崎の守備が大きく崩壊していたわけではないと思います。むしろ前半の多くの時間は、5バック気味に構える守備陣がアル・アハリの攻撃をよくブロックできていました。高井、丸山のスライドも、旭のカバーリング、ヤストの戻り…。全体としてはコンパクトな陣形を保っていたと思います。それでも2点取られるんだよな…。
相手はフィルミーノにマフレズ、ケシエ…個の力で一気に局面を変える選手がいるのはすごい。サウジアラビア人の選手が2人、外国籍選手が9人。サウジアラビアリーグが盛り上がりはするけど、代表選手が弱体化する…という難しい局面にいるのがサウジ。ACLEを優勝できるクラブは作れるし、盛り上がりはするけど、これを見て国内組は育つのか…というと疑問符はあります。これから数年ACLEの決勝はサウジアラビアで行われることが決まっているので(だからこそあのたくさんの賞金だけど)、いかにサウジの大アウェーで勝てるかなんだよな。
ワンプレーで守備組織を無力化できる国際的にも有名な選手たち。30代後半や、40代で…とかじゃなくて、20代後半でも普通にサウジアラビアでプレーしているんだもんな…。組織で守れていたJリーグクラブに個の力の暴力はすごかったです。
サウジ開催と日程不利…“構造的ハンデ”の中で戦った90分
サッカーの試合は、ピッチ上で行われているだけじゃなかったですね。ACLのベスト8以降、川崎は完全アウェーのサウジアラビアでの集中開催に巻き込まれました。準々決勝、準決勝、そして決勝まで、すべて敵地。しかも、準決勝のアル・ナスル戦から中2日しかなく、一方のアル・アハリは中3日でホームスタジアムでの決勝。明らかに不公平な中立地開催。
気温、時差、移動、観客、判定傾向…。これらすべてが“見えない壁”として川崎の前に立ちはだかりました。
ピッチの上で選手たちはベストを尽くしていたし、スタッフは素晴らしかったけど、Jリーグはマリノスや、フロンターレに7連戦を強いるなど、サウジリーグと違って全面的にサポートをしていたかというとそうではないと思っています。
野々村さんがどれだけマリノスとフロンターレについてこの開催期間中に触れた?宮本さんは?DAZNの決勝の実況解説はなんであんなに川崎フロンターレを否定的に言っていたの?とかそういう全部が川崎フロンターレを、横浜F・マリノスをサポートしていたとは言い難いなと。三浦がけがして泣いていたけど、じゃ、7連戦がなくて、ジェジエウがけがしていなかったら?大島僚太がけがせずに乗り込めていたら?とかそういうのを考えてしまう。
たらればだけど、特にACLのような短期決戦では、準備期間の差がそのまま結果に直結します。家長の言葉「ACLはチャンスが少ない大会」というのはまさにそれです。国内リーグのように“次がある”わけじゃない。だからこそ、こういう不利な環境で戦い続けるには、日程面も含めてJリーグのサポートが必要だったと思います。チャーター便と、うなぎだけでサポートしてまっせ、って言えるかというとね…。今回の川崎フロンターレ、前回のマリノスの”成功”と”失敗”を自分事のようにとらえて、日本全体で獲りに行けるように来年出場するクラブにはサポートをお願いしたいです。
【川崎の戦術と選手起用、その評価と疑問点】
家長の前半起用、エリソンの孤立。機能したのは誰か?
ACL決勝という大舞台、川崎がスタメンに送り出したのはベテラン家長とエースのエリソン。これはある意味、”経験と信頼”を重視した布陣だったはず。家長は特にこの試合がACL決勝に立つラストチャンスになる可能性もありますが…それでも家長以外はいなかったよな…。
アル・アハリの中盤の圧力、組織的な守備。そこに中2日のコンディションで戦うのはきつかったですね。ケシエは本当にすごかった…。エリソンもずっと孤立してしまって、テセがぶつぶつネガティブなことを言い続けていた前半のうまくいってない象徴のような存在になってしまいました。中央でボールを受けたくても、出てこないパス。サイドからのクロスもほとんどなく、彼がゴール前で何かを起こすには、あまりにもボールが来なかった印象。
高井と旭は戦えてたけどね…。個人対応力でアル・アハリの強烈なアタッカー陣に対して粘り強く対応していたし、苦しい展開の中で“やられなかった”印象でした。
大関・伊藤の投入
後半の頭からではなく、65分に満を持して投入されたのが大関友翔と伊藤達哉。この2人の投入は、明らかに攻撃のリズムを変えた。特に大関のボールの受け方、運び方には希望を感じましたね。
ピッチに入ってすぐに縦への推進力を発揮し、数少ない前向きな仕掛けを見せた大関。これまでのACLで確実に経験値を積み、サウジの地でも物怖じせずにプレーする姿には頼もしさすら感じましたし、この試合一番シュート打ったのは伊藤なんじゃない?ってぐらい攻撃のキーマンになってました。
大関・伊藤を後半頭から入れて、45分間やり切らせてもよかった気もしましたが…長谷部さんの選手交代策は後半の攻撃がうまくいっていた(もちろんアル・アハリが2点リードしている中で引いて守っていたところもあったからだけど)部分から考えるとはまっていただけに、1点でも取りたかったですね。
個に対応する守備陣の課題
ACL準決勝から決勝と、高井は川崎守備陣の中で最も信頼できる存在でした。対人能力の強さと、読みの鋭さ。特にフィルミーノやマフレズ相手に対しても落ち着いた対応ができていたのは評価に値すると思います。ACL決勝レベルではその一瞬が致命傷、という距離感を肌で感じることができたのも、これからの日本代表を背負って立つ存在としてのこのレベルアップにはつながるはず。
佐々木旭、三浦にとってはかなり悔しい試合でしたね。旭はガレーノのゴールに対する寄せの甘さは、試合を左右するプレーだったと旭は語っていましたが、彼のプレーがすべて悪かったというとそうではないですからね。
守備全体で見ると、数的不利やアクシデントへの対応が後手に回ってしまったことが大きいと思いますし、組織としては崩れていないのに、やられてしまうという圧倒的な暴力をどう止められるか、一瞬の判断力の点で、まだまだ伸びしろは大きいと思うのでここからですね。
【ACL準Vがもたらした“現実的成果”と、来季出場権を逃した現実】
準優勝で約9.5億円獲得。ACLは「夢」と「ビジネス」の両面あり
川崎フロンターレがアジア制覇には届かなかったとはいえ、ACLエリートで残した「もう一つの結果」も見逃せない。それが、準優勝によってクラブにもたらされた約9億5700万円という賞金をゲットできたこと。
具体的には、準優勝賞金として400万ドル(約5.8億円)、さらにグループステージでの参加報酬(80万ドル)や勝利給(10万ドル×6試合)、ノックアウトステージごとの加算分(計180万ドル)などが加算され、総額で約660万ドルに到達。これはJ1リーグ優勝賞金(3億円)を大きく上回る金額となりました。
もちろん竹内さんの言う通り、5%の社会貢献活動はあるけどね。川崎フロンターレ、社会貢献活動得意だからそこらへんは問題なさそう。
Jリーグクラブの経営的な現実を考えれば、この金額はクラブ運営・補強資金にとって極めて大きな意味を持ちます。さらにACLEに来年は出れないので、そこの金額をしっかりと強化に回してJリーグを獲りに行くことが忘れ物を取りに行くための最短ルートと言えます。
来季のACLE出場チーム決定。川崎の名前はそこにありません。
ACL準優勝とはいえ、残念ながら来季(2025-26シーズン)のACLエリートへの出場権は手にできず。
川崎フロンターレがアル・アハリに敗退したことにより、日本からの出場チームは以下の通りに決定しました。
- ヴィッセル神戸(2024年J1優勝)
- サンフレッチェ広島(J1 2位)
- FC町田ゼルビア(J1 3位)※初出場
さらに、下部大会である「ACL2」にはJ1・4位のガンバ大阪が出場が決まりました。
川崎は今シーズンJ1を制するか、天皇杯を獲る以外にACLの舞台へ戻る道はありません。
ACL準優勝でも翌年その舞台にでれない、というのが「継続してACLに出場し続ける難しさ」を感じさせますよね。常に国内で上位にいなければ、アジアの舞台には立てないというのが厳しいけど現実。
出場権を奪い返すには?Jリーグで示すしかない川崎の意地
ACLエリートへの道は閉ざされたわけじゃなく、負けたその日からまたリスタートとなります。
ACL決勝まで行ったことで、チームは確実に一皮むけることができました。ずっと超えられなかったACLベスト8の壁は超えることができました。あとひとつ。若手の台頭、戦術の引き出し、世界基準を知った選手たちがjリーグにどう還元するか、今季のJ1でどこまで活躍できるか。本当に楽しみ。
Jリーグでタイトルを獲れば、再びACLEに出られます。ACLE決勝の敗戦の悔しさを、返すには同じ大会でしか返せないと思いますし、いかにしたたかに国内での戦いをクリアできるか。
敗戦したこの大会にリベンジする為に違う大会に頑張らなければいけないというのはなかなか難しいところがあるけど、それでもシルバーをこれまでたくさん経験して、そのたびに1つ1つゴールドを獲得してきた川崎フロンターレにとって、ACLEでのシルバーは新たな一歩になりました。
【敗戦から学べ。ACLE準優勝が川崎に残した宿題】
ACL仕様のチームづくりは必要か?
Jリーグを勝つためのチームと、ACLで勝ち抜くためのチームは、同じじゃないのが身にしみてわかる大会でした。
川崎フロンターレは長らく風間八宏監督・鬼木達監督の下で「組織力」と「ポゼッション」に磨きをかけてきて、今年長谷部監督の下で守備力の強化を行うことで持っている攻撃力を活かすクラブづくりをしてきましたが、アジアには組織的な守備を一気に壊してくる個の力があります。
Jリーグでいえば、アンデルソン・ロペスや、ファジアーノ岡山のルカオみたいな選手が1クラブに何人もいるのがアジアのベスト4以降だったので…そういうクラブに勝ち切るためには、多少強引でも枠内にシュートを打てるレベルの高い選手がもっともっと必要な気がします。
個で打開できる選手、局面をひっくり返すフィジカル、勝負強さ。どれを取っても、アル・アハリが上だった現実をかみしめながら、明確に「個」を仕留める力、引っくり返す「個」の選手の存在が不可欠だと突きつけられた。
守備の強度、ボールの出し入れの速さ、セットプレーの質、そして交代カードのインパクト。どれもJリーグ以上にシビアに問われるのがACLE。Jリーグを獲得するために頑張りつつ、ACLEが決まったらACLE専用の選手を取りに行く…みたいなサウジアラビア仕様のチーム作りができるといいんですが…資金的に難しいよなぁ…。
ACLリベンジへの道、Jリーグでの戦いがすべて
2025-26シーズンのACL出場権はもう手に入らないのが決まりました。だからこそ、今季のJで以下に勝ち切れるかがすべてになります。ACLEに臨む前の引き分けだらけのJリーグではだめで、しっかりと勝ち切ることで国内のタイトルが近づいてきます。悔しさを晴らすには国内を制することが大事。再びアジアで試合をするためにこの負けを活かしていきましょう。
三浦の涙も、大関の決意も、脇坂の誓いも、すべてが次につながっていくはず。
フロンターレはここで終わらない。この敗戦を糧に、また這い上がってくるクラブだと信じています。サウジアラビアに向かったサポーターには本当に感謝を。ありがとうございました。






